お前の本性は知ってるよ?

11人が参加
ホラー

小中高、そして大学、常に同じな幼なじみがいる。上京してもなぜか家が隣。さて?これは偶然か?
毎朝、必ずぼくの起きる1分前に横にいる。トイレの時間も把握されている。休みの日もなぜか出かけた先でばったりと出くわす。付き合った彼女からは次の日には別れを切り出され、親友と約束していても用事ができたとドタキャンされる。
決まってその日は幼馴染が訪ねてくる。
……エロゲーじゃないんだから……
僕は何度そう呟いたことか。
しかしこれはゲームでは無いんだよな、残念ながら。
僕もいわゆる…こう…ハーレム的、な展開に憧れた時期が無かった訳では無い。
ただこうも毎日、毎回毎回、幼馴染が側にいると、やはり……

……飽きるよなあ。
自分にまつわる一切を家族でもない他人に把握されるむず痒さは誰にも伝わらない。
伝わらないことがもうむず痒い。
迷惑なのは迷惑なんだけど、いざいないとなったら、それはそれで寂しいんだろうなあ。
分かんないけど。
今日だって朝からそいつと一緒に電車に乗って大学に来た。
二人して寝坊して、お互い朝食をとってない。
腹ペコでぶっ倒れそうなままつり革に辛うじて掴まるぼくのスマホに、Airdropで画像が送られてきた。
大学の近くにあるダイナーのハンバーガー......
隣を見ると、そいつがニヤニヤしながらこちらのアイヒョンを見ている。
からかっているのか、誘っているのか......
大学に行く間も、授業中も、昼食も、午後も、帰り道も、気分で立ち寄ったラーメン屋にも彼女はついてきた。
常に表情は変わらない。ニヤニヤした笑顔のままだ。
そろそろ僕はこいつの笑顔は張り付いている仮面のような何かで、本当の顔は別にあるんじゃないかと考え始めた。
俗に言う本音・本性というものだ。
この創造は飽きが来て退屈になり始めた僕の日常にスパイスを与えた。意識して話題を変え、たまに違う態度や反応を返す。
こいつは今何を考えて、どういう表情で僕と行動しているのだろう。
その仮面の向こうにあるのは一体どんな顔なんだろう。
そんな生活を数か月続けた僕は自分の中のある変化に気が付いた。
こいつの本性の予測にすら飽き始めている。もともとずっと会話して生活していたのだ。ある程度予測というものはついている。
まずい。早く何かしないと。
こいつを使って自分の生活に刺激を与える何かを。
何かを。
そう、別にエロいことじゃなくていいんだよ!ただスリルを体が欲しがっているんだ。
「お前なにが目的なの」
僕はこの言葉を切り出そうと考えた。いつか抜こうと思っていた伝家の宝刀。あまりに根元的で、答えがないようにも思われるこの問いを投げかけるタイミングを僕は随分長い間見失っていた。しかし今こそ、その時だ。
水面下のやり取りはもうウンザリだ。万策尽きた。いつまでも動きを見せない数年間は心底退屈だった。先の見えない膠着状態に苛立ちが募って仕方がなかった。
情勢をひっくり返すこの一石にお前はなにを返す。さぁ今こそ、刺激を渇望する僕の生活に波風を立たせてくれ。さぁ、さぁ。

動け、僕の口。なぜ喉は鳴らない。なぜ息が気道を通り抜けない。
まるで禁止されているかのように固まった身体に、僕は戸惑いを隠せないでいる。
一体なにを禁止されているというのだ。
「私が何者か。君はそれを知らないが、知っている。ずっと前から知っているが、もうずっと忘れている。君は知っている。」
知っている?お前のことは知っているよ、幼い時から一緒に居たんだから。
「君がアクセスしようとしているのは君だ。他でもない君の情報を、君は君から手に入れようとした。」
なにが目的か、この問いは。
「君の願いは君が叶えてきた。初めから。君の脳内で。そのシュミレーションの最高層まで君は今、達しようとしている。」
「しかしそれは許されないんだ。全知全能を世界は認めない。君の世界の中に君の全てを知る者は存在してはいけない。そんな者が存在する事を君は認識してはならない。」
「何故なら、破綻するから。」
「第1の運命を知った君はそれを回避しようと動く。すると第2の運命が生まれる。回避した先の第2の運命が紡いだ生活をきみは拒否した。そうして更に君の望みに沿った第3の運命を創り出した。君はその繰り返しで、人生を作ってきた。そのファクターが、私だ。」
「君に認知させぬまま上位層の運命へと改編する者。バタフライエフェクト。それが私だ。だから、」
「私は君なんだよ。私の目的は君の目的。君の目的は君が知ってる。だけど、それを認知することは出来ない。君の目的の先に、新たな運命が生まれてしまうから。」
だから、この質問は出来ない。
しかしならば、この問いを投げかけた先にある未来が生まれるのならば、それは僕の目的により近いものなのではないか?
僕はこの問いを、君に投げかけねばならないのではないか?
君は、僕は一体
僕の目的は
「いけない、それ以上は……。」
「俺、なにが目的なの?」
その瞬間、僕は俺ではなくなったのだ。
*
俺には小中高、そして大学、常に同じな幼なじみがいる。上京してもなぜか家が隣。さて?これは偶然か?
毎朝、必ず俺の起きる1分前に横にいる。トイレの時間も把握されている。休みの日もなぜか出かけた先でばったりと出くわす。
付き合った彼女からは次の日には別れを切り出され、親友と約束していても用事ができたとドタキャンされる。
決まってその日は幼馴染が訪ねてくる。
……エロゲーじゃないんだから……
僕は何度そう呟いたことか。
しかしこれはゲームでは無いんだよな、残念ながら。
僕もいわゆる…こう…ハーレム的、な展開に憧れた時期が無かった訳では無い。
ただこうも毎日、毎回毎回、幼馴染が側にいると、やはり……

……飽きるよなあ。
ブックマーク: 2
11%

***ログインして続きを書いてね!***
ログイン