【ルール】全文短歌のリズムで続けてください

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短歌条例

渋谷駅ハチ公前に一晩で建造されたトーテムポール。複数の男が「ラッスンゴレライ」と唱えつつその周囲を囲む。街をゆく住人たちは怪しげな儀式を不安そうに見つめた。
そんな日はポテチを買って家帰り今見た記憶消すしかないな。
(※この世界ではコイケヤのポテチには記憶を消せる効能がある)
金麦とポテチふたつを手にとって、ファミマを後にした道すがら、
「こんばんは、お急ぎですか?」
唐突に女子高生に呼びとめられた。
JKは、釘宮理恵を思わせるある独特な声をしていて、フレームの赤い眼鏡のせいなのか池袋っぽい雰囲気だった。
でもおれは池袋より新宿の方が好きだなと思っていた。
「こんばんは、お急ぎですか? ご一緒に宗教法人はじめませんか?」
新宿という街はいい。チカラめし本店あるし、ビックロもある。それにひきかえてこいつは何なんだ。池袋にもほどがあるだろ。
新興の 宗教法人 もう多く はないだろうと 思ってはいたが。
てかまじか 「はじめる」のかよ 入信の 誘いじゃなくて かよおいまじか。
……いやいかん。驚きすぎて内言がカタコトみたくなってしまった。
「こんばんは。はじめませんか? こんばんは?」そんなに訊ねられても困る。
JKが手にしたビラの表面に踊る【役員募集!】の文字が、降りしきる小雨に濡れてかじかんでいた。
「そうですか……はじめませんか……」
おれはただ 宗教するなら 自分こそ 神になるもの と思ってたのに。
「今ならば無料で天使、おつけします」
 JKは目を輝かせ言う。
「いらないよ。 俺は悪魔の 方が好き だからそっちを よこしてもらおう」
JKは 目を点にして おれを見て そそくさとすぐ 去って行ってしまう。ああ俺は またやってしまった と思ったが もう手遅れだ 家に帰るかな。
12月下旬の雨がジーンズの裾を濡らして鈍色にする。取り出したタバコへと火を点けながら、思考を落ち着かせようとした。
忘れてた。しばらくの間、禁煙を自分自身に課していたことを。
宗教はこの街じゃそう珍しくないし、なんならありふれている。人間は誰でも何か信じたいものを信じずにはいられない。
人々にとって「神」とはセックスやTikTokやタバコのことで、だがそれはいずれも俺にしてみれば無価値なものにすぎなかったし、したがって今となっては禁煙といった行為に意味はなかった。
最寄り駅からアパートに着いてから、傘を忘れたことに気づいた。だがそれもどうでもよくて、一刻も早くシャワーを浴びたかったし、それだってポテチを食べてしまったら、すべて忘れるはずだったから。
だが、それは同時に奇妙でもあった。もしもポテチをむさぼるたびに、忘れたい記憶を忘れ去れるならあの既視感は何なのだろう。
つまりコイケヤのポテチの効能は実はまったく完全でなく、俺はあの女子高生ともうすでに何度も会ってたのではないか――渋谷駅ハチ公前に一晩で建造されたトーテムポール。何気なくつけたテレビの報道が渋谷の儀式のようすを映す。
俺は今、重大なことに気づいて、あー!と頭を抱え絶叫した。
俺はあの儀式のさなかあの人と会う約束をしてたじゃないか。
いややっぱ、もう一回そこに行かなければと思っておれは渋谷に向かった。
渋谷には大きな穴が開いていて、そこは地獄とつながっている。
前一度、地獄に入ったことがある、しかしこんなに大きな穴か?
穴の前佇む俺に
「こんばんわ」
またあの声に呼び止められる
声の主こちらを見つめ一言言う
「また来たのかい?」
しゃがれた声だ。
池袋風赤眼鏡、スカートがはためく風が吹きすさんでる。
今宵の身 人間なのは 終わりだよ。俺の正体は ドラキュラだ。
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