ハロウィンの夜に

9人が参加

騒がしい街中を普段と変わらない服装で自転車をこぐ。
いつものセブンイレブンでレギュラーコーヒーとドーナツを買っていると聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返るとそこには
2年前に福岡で生き別れたはずの犬のデミグラスが二足歩行でこちらにやってきていた。
仮装した親子が「トリックオアトリート」と言いながら、無邪気な笑顔を振りまいていた…その親子の横をすれ違った瞬間…
デミグラスの「ゴギャーン」という甲高い鳴き声が聞こえた。
振り返るとその方向にはある1人の仮装をした男性が目に入った。
あの只ならぬオーラ、千人将クラスに間違いないとみた。
ぼろぼろの布を身にまとい、その男性は1人で道端に座っていた。
彼はどこから来たのか、彼は何者か、彼はどこへ行くのか
私は勇気を持って、その男性に話しかけてみることにした。すると…
「ゴギャーン」という言葉が男性の口から発せられた。ような気がした。
...おそらく聞き間違いであろう。さっきのデミグラスがまた鳴いたに違いない。
しかし振り返ってみてもそこにデミグラスの姿は存在しなかった。あれ?近くで聞こえたのに...
恐る恐るもう一度怪しげな男性に声をかけてみる。
「ゴギャーン」「ゴギャーーン!」
どうやらこの声の主は、目の前の男性に間違いないみたいだ。
「もしかしてお前はデミグラスなのか?あの時捨てた恨みから僕に復讐しにきたのか?」そう言って、僕は思わず身震いした。
イートインに座る男性は、セブンでかったのであろうレジ袋から赤い何かを取り出した。
「それはっ!デミグラスが好物だった博多めんたいこじゃないか」
男はトレイのビニールをやぶると、箸も使わず手づかみで口に運んでいる。
「ママ、あそこで食べたい!」
先ほどの親子がレジで会計をしている。小さな女の子がこちらを指差して、目を輝かせている。
たしか、この店でもハロウィンキャンペーンをやっていたはずだ。仮装して買い物をするとお菓子がもらえるんだったか。
ききぃーと、高い音を立てて椅子を引きずりその椅子に飛び乗る女の子。
女の子の握りしめたレジ袋は大きく膨らんでいる。出てきたのは、なんと博多ラーメン。
セブンの前に座る男性は静かにたちあがり、ガラス越しにイートインに座る男性に目で合図すると、こちらに向き直る。
「今夜22時、ハロウィンの仮装をして来い。場所は…
渋谷スクランブル交差点ーーー

陽キャが遊んでる。仮装して。今夜は軽トラックが倒されたみたいだ。
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