ニアレストポイズン

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ホラー

終わらない夏。四人は町外れの廃墟を訪れた。今は誰も住んでいないそこには不気味な噂がある。

四人はこの肝試しによって全てを壊してしまうのであった。
――――高校二年生の夏。
村川歩夢音(むらかわ あゆね)は親友の金田静子(かねだ しずこ)と夏休みの計画を教室で立てていた。
…立てていたのだったが。
「もー!静子の馬鹿っ!」
「ごめんね…。バイトが忙しくって…。」
金田の家は貧乏だった。借金持ちの父親と3人の年の離れた弟と妹がおり長期休暇は必ずバイトを増やすのだ。
その結果いつも休みには一緒に遊ぼうと言っても中々時間が取れず…。
「これじゃいつもと同じじゃない!」
「で、でも最後の3日間は丸々空いてるから…。」
「それじゃ何も出来ないじゃーん!」
「そんな事無いって!私プラン考えるから…。」
歩夢音を窘めているとそこに一人の黒い髪が美しい少女が現れた。
美少女ではあるがクラスで浮いた存在の桐生麗奈(きりゅう れな)である。
「あらお二人さん、それなら良い所があるわよ?」
麗奈が提案したのは、ある廃墟であった。
「最近、廃墟ツアーブームだからいいとは思わない?お金もかからないし」
「幽霊とか出ない?」
静子は怖がった。
「たしかに幽霊ではなく変な噂があるとは聞いたけど、そんなに怖いなら一人男子を誘ってみて守ってもらいましょう」
そして、クラスの人気者の長谷川翼(はせがわ つばさ)についてくることをお願いした。あっさりとオッケーの返事をもらった。
「長谷川くん、本当に良かったの?」
「うん、別に予定さえ合えば問題ないよ。それに……」
翼はそれはもうにこやかに様々な本を取り出した。
それは廃墟を始めとする建築関係の本だった。
「僕があらゆる建物を網羅する建築マニアだって事は知ってるよね!?」
翼は容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群で空手部期待のエース。さらに誰にでも優しい人格者。
しかも父親が某有名企業の部長と言う完璧過ぎる生徒なのだが重度の建築マニアだった。
いざ建物の話になると彼の口からは止め処無く建築愛が溢れ出るのだった。
その知識はビルや工場、洋館に日本家屋、一般的な住宅に勿論廃墟と幅広いものであった。
しかしそんな珍妙な所が翼を人気者たらしめている一つでもあるのだが。
「それに君達が言ってるその廃墟って「人肉研究所」だろ?」
「人肉研究所?…工場のはずじゃ。」
「あれ?知らないの?天岡(あまおか)工場。別名人肉研究所。
工場なんだけど何故か病院みたいな施設もあってそこで広まった噂があそこでは食用の人肉を製造、研究してたんだって。
廃墟マニアやオカルトマニアの中でも有名な場所なんだよ。楽しみだなあ!」
「ええ~!?そんなの聞いてないよお!ちょっと!桐生さんどういう事…」
おぞましい事実を聞いた歩夢音は涙目になって麗奈へと顔を向けたが…既にそこに麗奈の姿は無かった。
そして、夏休みに入った。歩夢音は不安で仕方なかった。今さら断れる訳ではないし、長谷川くんと一緒にいれることに少しうきうきしていた。どうせ何もないだろう、と楽観的になることで心の落ち着きを取り戻した。
ーーーー肝試し当日
麗奈が4人の中で一番遅くにきた。静子は足を震えさせていて、長谷川くんが肩にポンッと手を置いた。少し羨ましく思い、自分も同じようにしようかと思った矢先、麗奈が「入りましょう」と言った。麗奈と歩夢音はとことんタイミングが合わない。
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