部屋
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クローゼットの隅まで全てひっくり返され、物という物が溢れかえっている、家主がもう存在しない部屋を、否応なしに見せつけられた時、これまでずっと大事にしてきた私の全てが、ズタズタに引き裂かれたような気がした。
思い出は物に宿ると言う。
物を見たとき、ふと忘れていたものが蘇ることがある。記憶というのはもしかしたら物を媒介として作用しているのかもしれない。
だから、その記憶を蘇らせる術を持つ人間がいなくなったとき物に宿っていた思い出は虚構のものとなってしまうのだろうか。
ふと下に目をやる。封筒があった。ピンク色のいかにも恋愛を想い浮かばせるものだった。
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